おもしろ飼育コラム

たまたま出会う
  • 企画展・特別展示

たまたま出会う

こんにちは。8月も今日で終わりです。 みなさまはどのように夏を満喫されたのでしょうか?   私はお盆前の猛烈に暑い日に、日本海へと釣りに出かけました。   きれいな砂浜で足だけ海水浴をしながら波打ち際で釣りをしていると、すぐそばに黒いものが漂っていました。   ゴミかな…と思い、特に興味もなく釣りをしていましたが、 しばらくしても、黒いものは打ち上げられるわけでもなく、沖に流されるでもなく、同じところ辺りにとどまっていました。   変だなと思い、よく見てみたら…びっくり!   こ、こ、これは…。 驚かさないようにちょっと遠目ですが、動画を撮影しましたので、ごらんください。     お分かりですか? 体長2.5cmほどのゴンズイ幼魚の群れです。通称は「ゴンズイ玉」。 ざっと200?300?匹ぐらいはいたんじゃないでしょうか。     ゴンズイの群れといえば、今ちょうどアクア・トトぎふで開催中の企画展「ゾクゾク水ゾクッ館」のなかで、「謎の集合体」として展示しています。 水槽では変幻自在に群れの形を変化させながら、たえず泳いでいるので、お客様にはシンクロナイズドスイミングみたいと言われております。 右から左へ、下から上へ、ぎゅっと集まったり、少しばらけたり…つぎつぎに様子が変わります。 おもしろいので、ずーっとながめていられます。 幼魚のころだけお互いに集合するフェロモンを出して、このような群れで生活するんですよ。   大きくなると体長20cmほどになり、群れは作らなくなります。   海では神出鬼没なので、見たい!と思ってもなかなか出会えませんが、企画展「ゾクゾク水ゾクッ館」ならいつでも見られますし、じっくり見ることができます。 なので、ぜひ会いに来てください。     Tweet

クリオネ展示に向けて
  • 企画展・特別展示

クリオネ展示に向けて

今日は企画展「ゾクゾク水ゾクッ館」の中で、“かわいくてゾクッ”で紹介している、あの人気もののお話です。   今回の企画展の展示種を決める話し合いで、“お子様も喜ぶクリオネを展示したいよね”という意見があがりました。 暑い夏に冷たい海に生息するかわいいクリオネを見たら、きっと楽しんでもらえるんじゃないか、と展示することになりました。 クリオネは2℃~4℃の低い水温に生息しています。 そのため、水槽のアクリル面に結露が出来てしまうことが展示する際の課題でした。 企画展がスタートする2ヶ月頃から、展示に向けて結露の問題をどう回避するか、試作を始めました。 実際に予備水槽で2℃まで冷やすと、アクリル面は結露で真っ白。 何も見えません。 これはまずいと結露防止シートを貼り付けたところ、予想以上にきれいに見えたので、この問題は解決できたかと一安心でした。 次にクリオネ展示の際は、クレーゼル水槽という円形の水槽で水を循環させて、水槽に水流を起こす必要があります。 こうしないとクリオネは底に沈んでうまく飼育できないのです。 以前使っていたクレーゼル水槽を探すと、割れてしまって、すでに破棄済みとのこと。 購入すると結構お高い水槽です。 迷って、迷って、迷った挙句、結局はお手製の水槽を作ってみることに。   アクリルを切り出し、熱をかけて丸く曲げて、接着剤で接着して丸い水槽を作りました。 丸くない部分も少しありますが、いい感じの仕上がりです。 早速、排水の穴を開けて一度試しに循環を回してみました。 クリオネの代わりにフィルムテープを入れてうまく回るか見たところ、クルクルとフィルムテープが水槽内を回ってくれたので、お手製のクレーゼル水槽の完成です。 あとはクリオネの到着を待つばかりとなりました。   企画展で展示する生き物の多くは、普段はアクア・トト ぎふにいない生き物が多いため、随時搬入を進めていきます。 クリオネは企画展スタート日のわずか3日前の搬入となりました。   今回のクリオネはダイオウグソクムシと共に新江ノ島水族館からお借りすることに。 営業のスタッフと江ノ島まで、日帰りで車で受け取りに行きました。   片道約4時間、クリオネたちを無事に岐阜まで連れて帰らなければならないのですが、何せこの猛暑!! 車のエアコンをガンガンにきかせても、クリオネの入った氷入りの発泡スチロール箱の温度はみるみる上がります。 途中で高速のパーキングに止まり氷を追加したり、クーラーボックスに入れ替えたりして、水温を調整して岐阜までなんとかたどり着きました。 クリオネを水槽の中に入れ、水流でクルクルと回る姿を見て、ほっと胸をなでおろしました。 かわいい姿に“ゾクッ!”としてみてください。     Tweet

ヒダ幼生展示、撤収します。
  • 日本の両生類

ヒダ幼生展示、撤収します。

今年5月にヒダサンショウウオが産卵し、卵嚢(らんのう)から幼生まで長らく展示してきた通称ポケット水槽ですが、今週末に撤収いたします。 というのも、バックヤードで飼育していた展示幼生の兄弟にあたる個体達が、のきなみ変態上陸したためです。       こんな感じで、体は小さいですが、金ぴか模様もばっちりです。 展示幼生は変態までしばらくかかりそうで、あまり成長に差がつくと、あとあと飼育が大変になるので、これ以上差がつかないようにバックヤードに移動させることにしました。 数年後には大きく成長した彼らが、展示水槽にデビューすることでしょう。 それまで今しばらくお待ちくださいませ。 では、最後に愛らしい幼生の給餌シーンをお見せして、お別れとさせていただきます。     どうですか?「エサーっ」と寄ってくるところなんて、もう、たまらん可愛さです。 これが、変態後は一転してピンセットを近づけようものなら一目散で逃げます。もしくはガン無視。 あの蜜月の日々はいずこへ…。 まぁ、毎度味わう、この切ない気持ちも醍醐味の一つということで。 では。     Tweet

木を食べる魚
  • アマゾンの生き物

木を食べる魚

こんにちは。 今日は1F「アマゾン川の魚Ⅰ」水槽(シルバーアロワナのいる水槽)に、1匹だけいるトライアンパナクエという魚の話をします。 大きさは40~50cmぐらいあります。 もともとは、昨年の夏から冬にかけて開催していた企画展「世界のナマズ大紀行」で展示していた個体でした。 (大きくて深い水槽では隠れて見えないだろう…)とは思いましたが、ナマズがたくさんいる水族館なのに、パナクエの仲間がいないのもさびしい。   というわけで4月から展示しています。   ほとんど隠れていて見えないんですけどね。でも、時々は見えます。 夜はよく見えます。 展示水槽に入れる前に、体の特徴を確認するため、各部位の写真を撮ったのですが、手にしてみると本当にかたくてガサガサ、ヒレの筋(鰭条)は生き物とは思えないほどカチンカチンにかたくて丈夫です。 ↑ 右の胸ビレ ↑尾ビレ ↑頭部   さて、タイトルにある「木を食べる魚」とは何かといいますと、 このパナクエは、水中に沈めてある流木にくっついて、やわらかくなった流木の表面をかじり取って食べます。 こんな口で。 固形の配合餌料なども食べることは食べるのですが、食べごろのふやっともろくなった流木がやっぱり大好物のようです。おいしくなさそうですよね。   なかなか見えるところにいてくれないパナクエですが、アクア・トト ぎふの一員として今後ともよろしくお願いいたします。       Tweet

水の中の世界から
  • 日本の淡水魚

水の中の世界から

こんにちは。 今日は屋外に設置してあるイチモンジタナゴの水槽をのぞいてみます。     少し時期をさかのぼりまして、繁殖の時期に魚の状態はどんなもんかとカメラを沈めてみました。 追星(おいぼし)や婚姻色がでた多くのオスが二枚貝の周辺を泳いでいました。 一方のメスですが、この種の産卵管はタナゴの仲間では一番と言ってもいいほど長く伸びますが、この映像から見ても、いつでも産卵できそうな状態のメスがちらほらと確認できました。   この水槽の場合、横から見ることができないので、こうやってカメラを沈めてみれば全体の状況もよくわかります。 魚の警戒心もなくこっそりのぞいている感じで、魚との距離も近く楽しくなります。   おまけで、ヤリタナゴとニッポンバラタナゴの水槽もご覧ください。     川の中をのぞいてみて、色々なタナゴの仲間がこんな風に泳ぎ回っている光景がいつまでも見ることができるといいなと願っています。   Tweet

企画展「ゾクゾク水ゾクッ館」
  • 企画展・特別展示

企画展「ゾクゾク水ゾクッ館」

少しご紹介が遅れましたが、7月14日(土)より企画展「ゾクゾク水ゾクッ館」が始まりました! 今回のテーマは、思わずゾクッとするような生き物たち。 「大きさにゾクッ」「姿にゾクッ」「毒にゾクッ」「かわいくてゾクッ」などカテゴリー分けして、いろんな ゾクッとする生き物たちを紹介しています。 展示生物の中には、ちょっと怖そうな生き物、思わず「え~」って言ってしまうような生き物もいるかもしれませんが、じっくり見てみるととても魅力的ですよ。 好奇心と怖いもの見たさで、個性的な生き物たちを楽しんでください。   こんな感じで、覚悟して見るコーナーもありますよ。 「もう見たよ~」っていう方もいるかもしれませんが、この企画展は12月9日までのロングラン。 1回見ただけで満足させるつもりはありませんよ。 これからも展示やイベントなど、いろいろ仕掛けていく予定です。 企画展の隣にあるトト・ラボのコーナーでも展示しています。 展示も少しずつ入替えしていきますよ。 他にも7月21日~8月26日の土日祝(※8/11~8/16は毎日開催)の12:30~15:00には、夏休み特別イベント「ゾクゾク体験塾」で生き物や標本にさわってゾクッと体験もできます。   まだまだこれだけではなく、スペシャルナイトツアー「夜も水ゾクッ館」や、アクア・スクール「もっとゾクゾク水ゾクッ館」、ものづくりワークショップなど、企画展特別イベントも開催します。 (※詳細はHPのイベント情報をご覧ください) この夏、アクア・トト ぎふでゾクッとした体験をしてみてください! まだ見たことのない世界があなたを待っているかも!?       Tweet

涼感
  • アクア・トトの生き物

涼感

こんにちは。暑くてたまりませんね。 でも暑いからこそ、涼しい瞬間にふと「幸せ」と感じるので、幸せがいっぱいな真夏でもありますね。   さて、今日はちょっと涼しくなれる潜水業務についてのお話です。 毎朝、水槽内の掃除のために、大型の水槽に当番制で入ります。 もちろん冬は寒くて気が乗らないときもありますが、この時期は涼しくて生き返ります!   アクリルについたコケをスポンジでこすったり、底にたまったゴミや落ち葉を回収したり、石や流木の配置を変えたりなど、なるべくお客様が来館される前までに…とあちこち忙しく掃除します。 水の中で作業していると、ときどき拾い物をすることもあります。 たとえばこちら。 歯でございます。 落とし主はおそらく巨大なアオウオです。 のどにある咽頭歯(いんとうし)といわれるもので、アオウオなどのコイの仲間はとても発達しています。 真っ白でつやつやでとてもきれいです。 潜水するとたいていひとつは見つけます。さらに、水槽の底にあるポケットの蓋を開けてみると、中にはごろごろとたまっています。 人の奥歯にちょっと似ていて、大きいものでは1.5cm以上もあります。   次はニシアフリカコガタワニの歯。   そして最後はゴライアスタイガーフィッシュの歯。 これはたまたま見つけたのではなく、ゴライアスタイガーフィッシュの歯が抜けてなくなっていたのを見て、飼育スタッフのひとりが、砂利の中から探しあてたそうです。   生き物の歯はバラエティ豊かなので、暑い夏、まさに今、水を感じられる涼しい水族館に来ていただいて、「あ~そういえば歯でも見てみるか」ってな気分になっていただけるとうれしいです。         Tweet

まるで宝石
  • 日本の淡水魚

まるで宝石

まずはこちらをご覧ください。     ご覧いただいたのは、このニシシマドジョウの卵です。 皆さんがご存知のドジョウは水田や用水路などにいますが、このニシシマドジョウはどちらかというと川の本流の砂底・砂利底になっている場所にいます。   産卵直後の卵はこのような感じでした。 1円玉と比べてもこの通り。小さな卵です。 産卵から1日経過して、少し魚の形がみえてきました。 産卵から2日目にはふ化しました。はやい。 4日目には泳ぎ始めました。 しっかりとエサも食べて順調に育っています。 ニシシマドジョウの繁殖を試みてから3年が過ぎましたが、ついに当館で初めて繁殖に成功しました。 卵一つ一つが輝いて見えます。 今回、回収できた卵は215個で、未受精卵もありましたが200個が無事フ化しました。 さぁ、これからしっかりと育てていきましょう。 このあたりの飼育の様子はバックヤードツアーでもご覧になれますので、また機会がありましたら、観察してみてください。     Tweet

目×目
  • 日本の淡水魚

目×目

こんにちは。 先日ご紹介した「イクメン・トトのトトベビー」で展示されたウシモツゴに続いて、今度はオヤニラミのご紹介です。 水族館の裏側の水槽内にオスとメスをいれて飼育していると、水槽内の設備の一部である塩ビ管に産卵しているのを確認しました。     時を同じくして、別の水槽では水槽内の流木に産卵しているのを確認しました。     卵の表面についているゴミをとったり、新鮮な水を送っているのでしょうか。 表面をつついたり体をこすりつけるような行動は、ウシモツゴとはまた一味違って大事に大事に卵を守っているように感じました。 オヤニラミという名前の由来は諸説ありますが、鰓のところにある一つの大きな模様が稚魚の目に見えて、それが親魚をにらんでいるようにみえる、というところからつけられたとの話もあります。 稚魚の段階ではまだその模様も曖昧な感じで、成長とともに模様も出てくるのでしょう。 稚魚の本物の小さな目はしっかりと何かを見つめています。そこにはどのような景色が映っているのでしょうか。 今後は立派に大きくなることを願うばかりです。     Tweet

黒
  • 日本の淡水魚

こんにちは。 先月の話になりますが、父の日の特別水槽「イクメン・トトのトトベビー」をご覧になりましたか? 展示期間はあっという間に過ぎてしまいましたが、普段はなかなか展示できない稚魚をお見せすることができました。 イクメンとしてご紹介しましたが、実際にその様子まではお伝えできなかったので、改めてご紹介しようと思います。 今回展示した魚類の一つ、ウシモツゴです。 ウシモツゴを繁殖させている、水族館の裏側の水槽で撮影したものです。 卵を産みやすいように塩ビ管を沈めて、そこにウシモツゴが産卵できるようにしています。 黒光りしているような立派なオスが卵を守っています。 なわばり意識が強く、近づいてきた他のウシモツゴを追い払う様子が観察できます。 真っ黒で、いかつい感じになっていますが、一生懸命に卵を守る様子はまさにイクメンです。 ただ、とにかくやることが多くて忙しそうです。   卵を守る前の段階、産卵するときの様子もご覧ください。 こちらはウシモツゴの展示水槽での様子です。 流木に体をこすりつけるようにして産卵しますが、それはほんの一瞬の出来事で、これを何回も繰り返して細い流木へきれいに卵を産み付けていきます。 ウシモツゴやモツゴは、こういう流木や石に好んで産卵するので、野外の川やため池などで注意深く観察すると卵を見つけることもできます。 あと、オスとメスの体格差がけっこうあっても、ペアが成立するのも興味深いところです。 展示水槽でも、動画のように産卵している様子が時折観察できるので、ぜひご注目ください。   Tweet

48ページ(全154ページ)

本日の開館時間

9:30-18:00

最終入館 17:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

年間パスポート
のご案内