おもしろ飼育コラム

ハロウィンのにょろにょろモンスター
  • アクア・トトの生き物
  • 企画展・特別展示

ハロウィンのにょろにょろモンスター

みなさま、こんにちは。 涼しくなってきて、秋がやってきました。 1日の気温差が大きいため、お体に気をつけてお過ごしくださいね。   さて、10月31日はハロウィンです! ハロウィンの始まりは、ケルト人の1年の終わり(夏の終わり・冬の始まり)の日である10月31日に、この世と霊界との間にある目に見えない「門」が開き、死者の霊が家族のもとに帰ってくると信じられており、その時に一緒にやってくる悪いモンスターから身を守るために、仮面をかぶり魔除けの焚火を焚いたのがきっかけと言われています。   日本では、ハロウィンは仮装パーティーの印象が強いかもしれませんが、仮装する理由は悪いモンスターに扮して自分を守るためだったのです。     今回のテーマ水槽は悪いモンスターを由来にもつ『グレーターサイレン』を展示しています。   実は、グレーターサイレンの名前の由来は、ギリシャ神話の海のモンスター「セイレーン」だと言われています。   「セイレーン」はみなさま、ご存知でしょうか? かの有名なコーヒーショップのロゴに用いられているモンスターです。 「セイレーン」は、半人半魚(もしくは半人半鳥)の姿で、美しい歌声により航海中の人々を惑わし、船を難破させて人を襲って食べたと語り継がれています。     そんな恐ろしい伝説をもつモンスターを由来とするグレーターサイレンは、つぶらな瞳をもつ意外にも可愛らしい見た目をしている両生類の仲間です。 細長い体形で小さな前肢をもち、後肢がない姿や、驚いたりすると鳴き声を発する様子を、半人半魚で美しい歌声をもつセイレーンに関連付けたのではないかと推測されています。 また、一生を水中で過ごすため、成熟してもエラがあり、エラ呼吸のほか、直接空気呼吸を行うこともできます。     ぜひ、恐ろしい伝説と見た目のギャップをお楽しみください! 今回のテーマ水槽は、水族館のエントランスにて10月31日まで展示しています。

愛されショウキハゼ
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愛されショウキハゼ

みなさま、はじめまして。 初飼育コラムとなります、新入社員の山下です。 どうぞよろしくお願いいたします。     記念すべき山下コラムの第1弾の主役はこちら! ショウキハゼという魚です。   実はこのショウキハゼ、私山下が入社して最初に種名板を作成した魚なのです。 初めての種名板作成のみではなく、初めてのコラムもショウキハゼに持っていかれるとは、入社前の私は予想すらしておりませんでした。   種名板を作成する過程で面白い特徴がたくさんある魚だなぁと感じたので、種名板に書ききれなかった特徴を含めて、こちらのコラムで紹介していこうと思います。     さぁ、さっそく1つめの特徴を紹介していきます。 私が思うこの魚の一番の特徴は… ヒゲです! ほほから下アゴにかけてヒゲが生えている魚です。 正面から見た顔がとても可愛らしいですね。 社内でも非常に愛されている魚でして、「早くコラム書かないと私が書くよ?」と先輩に言われまして、ひいひい言いながら書きました。 上の写真は、ショウキハゼがまだ小さい頃の写真です。   そして現在の姿がこちら。 かなり大きくなっているのが顔のみの写真からでも伝わるかと思います。 大きくなっても可愛らしいです。 中国には鍾馗(しょうき)というヒゲをたくわえた神様がおり、このハゼも同じようにヒゲをたくわえていることから、ショウキハゼという名前が付いたと言われています。     続いて2つ目の特徴です。 ショウキハゼは非常にずんぐりした体型をしており、大きな頭を持つ魚です。 こちらはまだ小さいショウキハゼ。   そして現在はこちら まさにずんぐりショウキハゼです。   体は太短く、特に頭が大きいのが分かるかと思います。 このような体つきをしており、小型の魚類や甲殻類、軟体動物を捕食するとされています。 当館では、ごはんとして主にサバのミンチやオキアミなどを与えています。 タイミングが合えば、ショウキハゼがごはんを食べる様子を見ることができるかもしれません。     最後に紹介するのは、生息環境についてです。 ショウキハゼはカキ殻のある、軟泥の干潟を好むとされています。 ここで重要なのがカキ殻の存在です。 ショウキハゼはカキ殻を隠れ家として利用すると考えられています。 さらに、繁殖の際には主にカキ殻に卵を産み付けることが知られています。 自分はまだカキ殻に産み付けられたショウキハゼの卵を見たことがないので、いつか見てみたいものです。     ではこのあたりで、初コラムは終了させていただきます。 最後まで読んでくださった皆様は、もうすっかりショウキハゼが好きになっていることでしょう。   現在、3Fの河口の生きもの水槽で展示しているので、ぜひ石の下をよーく見てみてください。 ヒゲのある顔を見ることができるかもしれません。   それではまた次のコラムでお会いしましょう!

メコン川水槽のナマズたち!
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メコン川水槽のナマズたち!

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。   東南アジアを流れるメコン川には数多くの淡水魚が生息していますが、 種数において、最も多く確認されているのがコイの仲間たちで、その次にナマズの仲間たちが続きます。   今回は当館のメコン川水槽で展示しているナマズたちを現地の写真と共にご紹介いたします。メコン川のナマズといえばメコンオオナマズが有名ですが、今回の主役はメコンオオナマズと以前紹介したカイヤン以外のナマズたちです!     最初のナマズはトランスルーセントグラスキャットフィッシュと呼ばれるクリプトプテルス属のナマズです。実際には1種ではなく、そっくりな姿形の種が数種いるのですが、この魚たちは何といっても魚体が透き通るように透明であることが特徴ではないでしょうか。私はカンボジアでの魚調査の際に何度もこの魚を採りましたが、いつ見ても言葉では表現できないほど、魅力的で美しい魚です。   当館の展示水槽ではいつも群れをつくってかたまっています。ご来館の際にはじっくりと透明な魚体を間近で観察していただけると嬉しいです。       続いて2種目のナマズは上の写真のバガリウスというナマズです。 この魚は成長すると、1mを超える大型ナマズで、太く長い口ひげが水牛に似ている事から、カンボジアでは「トライ(魚)・クロバイ(水牛)」と呼ばれ、現地ではとても有名な魚です。   多くの魚は魚体が粘膜でおおわれてツルツルしますが、バガリウスの体表は粗い紙ヤスリの様にザラザラ、パサパサしているため、とてもつかみやすい魚です。   水が少なく、透明度の高い乾季にメコン川へ潜ると、岩に張り付いているバガリウスを見ることができますが、とても警戒心が強くて俊敏なため、なかなか近づいて観察させてもらえません。当館ではメコンオオナマズと同じ水槽で展示していますが、観覧側からはなかなか姿を見せてくれない隠れキャラ的な魚となっています。姿を見つけた方は幸運の持ち主だと思います!       続きまして、3種目はワラゴ・アトゥーというナマズです。カンボジアでは1m程の個体もよく見かけます。日本の琵琶湖水系に生息するビワコオオナマズに姿が似ており、口には小魚を捕らえるための鋭く小さな歯がびっしりと並んでいます。   当館ではメコン川中流の魚水槽(メコンオオナマズの水槽の隣)にて展示しています。 周りに大きな魚たちがたくさんいるので、目立たない魚かもしれませんが、ご来館の際にはぜひ探してみてください。       本日、紹介する最後の魚はワラゴ・ミクロポゴンというナマズです。上のワラゴ・アトゥーと同じワラゴ属の魚ですが、スレンダーな体形のワラゴ・アトゥーよりも少しぽっちゃりしている魚です。上の写真は2000年にラオス国境の村で出会った大きな個体で、当時はこのサイズがたくさんいましたが、最近では1mを超えるサイズは勿論の事、小さいサイズでさえ、なかなか見ることができなくなってしまいました。 しかし、当館では、現地でもなかなか見ることのできない大型個体も展示されているので、ご来館の際にはワラゴ・ミクロポゴンの姿を探してみてください!     今回はメコン川のナマズたちをご紹介させていただきました。 最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

メコンのタイガーフィッシュ!
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メコンのタイガーフィッシュ!

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。   当館で展示する魚たちの中でタイガーフィッシュといえば、アフリカのコンゴ川水槽で展示しているタイガーフィッシュやゴライアスタイガーフィッシュを思い浮かべる方も多いと思いますが、今回紹介する魚は東南アジアを流れるメコン川のタイガーフィッシュです。   この魚はフォーバータイガーという名で展示しているダトニオイデス属の魚です。 魚体は黄色と黒色の虎模様であることから、現地のカンボジアではトライ・クラー(虎魚)と呼ばれています。   さらに詳しく紹介すると、このダトニオイデス属の魚たちは、東南アジアからニューギニアにかけて5種類が知られており、そのうちの3種類がメコン川で記録されています。   日本のアクアリウムでも昭和の熱帯魚ブームの頃から人気のある魚で、現在も根強いファンを多くもつ魚でもあります。     そんなメコン川のタイガーフィッシュたちですが、豊かな自然環境が失われつつあるメコン川では3種類すべてにおいて、年々減少傾向にあると考えられています。   私自身は足掛け約25年に渡り、カンボジアを中心にタイ、ベトナムで魚調査をしてきましたが、この魚に出会うまでには約10年もかかりました。これだけ長い年月がかかった理由は、少ない魚というだけではなく、私にとっては見知らぬ国での魚探しでしたので、自身の力不足も大いに関係しているのですが、それでも他の魚たちと比べると、出会うまでの道のりは長いものとなりました。     今回はメコン川に生息する3種のタイガーフィッシュの中から当館で展示しているフォーバータイガーとの出会いを紹介します。 カンボジア全土の淡水魚類をすべて見たい!という想いから始めた魚調査の中で、10年探しても見つからない魚が、どのような環境で泳いでいるのだろうか?そんな姿を一度は見てみたい!という気持ちは日に日に強くなっていました。       そんなある日、偶然立ち寄ったメコン川沿いの町での事です。早朝、港に集まって来た魚屋さんの小舟の中に1尾のフォーバータイガーを見つけたのです。私はこの機会を逃すまいと、漁師さんが住む村へ案内してもらい、フォーバータイガーに水中で出会うチャンスを得ました。   その舞台はメコン川に浮かぶ小さな島で、数えるほどしか住民はいませんでしたが、ほぼ全世帯が漁師さんで、ちょうどその時期は潜ってフォーバータイガーを採る漁をしているという話を聞くことができました。しかし、翌朝の漁が待ちきれず初日の夜はほとんど眠ることもできませんでした。   翌朝、小舟に乗り込み、メコン川本流のポイントへ向かっていると、「ここにいるぞ‼」という声と共に舟が停まり、村の漁師たちと一緒に素潜りでメコン川に潜ってみることになりました。その川底一面は岩盤で覆われ、私でも立てる浅い場所があるかと思えば、そのすぐ脇は急に深くなっている場所もあり、とても起伏の激しい環境でした。しかも足を踏ん張らないと立っていられない程、流れが速い場所でした。   その厳しい環境下で私も潜る事に少し慣れてきた頃、「いたぞ‼ついて来い!」という漁師さんの掛け声を聞いて、その場所へ案内してもらいました。一軒家ほどある大岩の斜面を5m潜った時です!ついに、あの虎模様をしたフォーバータイガーが川底の岩陰にひっそりと身を隠している姿が見えたのです。でも残念ながら、さらに2mくらい接近したところで魚に気付かれ、逃げられると同時に私の息も限界が近くなり、水面に浮上することになりました。 これが水中で出会ったフォーバータイガーとの初対面となりました。その後は回数を重ねる毎にフォーバータイガーが好む環境条件が少しずつ分かるようになり、大きな成魚の姿を探してじっくりと観察できるようになりました。しかし、流れが速いため、写真撮影をする余裕はなく、両手は岩にしがみついたり、泳ぐ事にしか使う事ができません。   その一方、小さなフォーバータイガーの幼魚たちは比較的流れの緩やかな場所にいる事がわかり、水中でエビを捕食する様子や、仲間同士でケンカする様子などフォーバータイガーの生活の様子を観察する事もできるようになりました。   当館で展示しているフォーバータイガーは人懐っこく、クリっとした大きな目が私は大好きです。当館へお越しの際にはぜひフォーバータイガーの姿を探してみてください。   最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

3mのパーカーホーに出会いたい
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3mのパーカーホーに出会いたい

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。   今日、紹介するメコン川の魚はコイ科で最も大きくなるパーカーホーです。   その大きさは最大で全長3mになるといわれ、そんな魚がメコン川に泳いでいると思うと、ちょっと怖くなってしまう程の大きさです。     パーカーホーはメコン川が流れるカンボジアで国魚に指定され、国民の誰もがその名を知っている魚です。しかし、実際に実物を見た事のある国民はそれほど多くないと思われます。 なぜならば、上の写真のように大人一人では抱えきれない程大きなパーカーホーは、近年メコン川流域で起きている様々な自然環境の変化によって激減しているからです。     私がカンボジアで魚調査を始めた2000年頃には、すでに生息数が減っている種になっていましたが、それでも時々、魚市場でびっくりするような大きさのパーカーホーに出会う機会がありました。 それ以降、年々その姿を見かける機会も減り、2010年以降は20~30㎝程の幼魚の姿を見つけるだけでも幸運といって良いくらい激減してしまいました。     また、パーカーホーはメコン川本流のような大きな河川やそこにつながる湖などに生息しています。漁師さんの船に乗った際、定置網漁や刺し網漁を手伝いながら調査をしていると、小さなパーカーホーを何度か見る機会がありましたが、決して狙って採れる魚ではありませんでした。   ちなみに、上の写真の様に魚市場で売られる小さいパーカーホーはすべて生鮮魚として誰かに買われ、料理されて食べられてしまいます。私も漁師さんの家で一度だけ食べましたが、他のコイ科魚類と比べると多少美味しいかな?という印象のお味でした!     現在、カンボジアでは大きなパーカーホーが漁で採れた時には、水産局職員が記録した後、放流しているそうです。パーカーホーは大きく成長しないと産卵をしない種であるため、小さい幼魚の保全はもちろんですが、大きな個体をしっかりと守ることはとても大切な対策の一つです。     大きく成長すると、魚体の1/3が頭部といわれるくらい大きな頭をもつパーカーホー! アンコールワット寺院の壁画に1個体だけ描かれているのを見つけました。 (壁画の中の魚が見やすいように明暗をつけた加工をしています)   この壁画からもアンコール王朝時代には全長3mのパーカーホーがメコン川に泳いでいた姿が想像できます。私も当館の「メコン川中流の魚」水槽で元気に泳ぐパーカーホーを眺めながら、メコン川の自然環境の回復を願うと共に、いつか3mのパーカーホーに出会う事を夢見ています。   最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

壁画から甦る魚たち?!
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壁画から甦る魚たち?!

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。 今日、紹介するメコン川の魚は壁画に描かれた魚たちです。   メコン川が流れるカンボジアには12世紀に建てられたアンコールワット遺跡があり、現在は世界遺産に登録されています。   そのアンコールワットにある東第一回廊の壁には乳海攪拌(にゅうかいかくはん)という神々の天地創造神話が描かれており、神々と共にメコン川の魚たちが彫られています。 この神話はお話しするととても長くなってしまうので、興味のある方はぜひ調べてみてはいかがでしょうか。とても魅力的なお話ですよ!     さて、今日はこの壁画に描かれている魚たちに注目してみます。 私がこの壁画を初めて見たのはカンボジアで魚調査を始めた25年前になりますが、壁画の中の魚たちをよく見てみると、どれも特徴がしっかりと描かれていました。   どの魚も、私にとっては調査中に出会う魚たちばかりでした。そして何よりもこの壁画を彫った千年近く昔の石工さんたちが、しっかりと魚たちの特徴を理解して表現している事にすごく感動した思い出が今も心に強く残っています。     それでは今回は、その壁画の中から当館で展示している魚を4種ピックアップしてご紹介いたします。     1種目はこちらの魚です。(壁画の中の魚が見やすいように明暗をつけた加工をしています) いかにも魚らしい姿ですが、このひし形の体型や鱗の大きさ、鰭の形状などから想像すると、コイ科の魚だということがわかります。そしてこの地域に生息するコイ科の中で現存する種類を見ていくと、イエローフィンバーブの仲間だと想像することができます。 現在もバーブの仲間は重要なタンパク源として食されています。     2種目はハンパラバーブです。 こちらもコイ科の魚ですが、頭部が大きく、やや細身の体型をしていますよね。この姿をした現存種はハンパラ属の魚しかいません。体の中央にある大きな黒い斑点が描かれていれば完璧ですね。上のイエローフィンバーブ同様に美味しいですが、小骨が多い魚なのでちょっと食べにくい魚です。     3種目はナイフフィッシュの仲間です。 別名はナギナタナマズとも呼ばれる魚でその姿はまさに細長くカーブする長刀の様です。メコン川では4種のナイフフィッシュが知られており、当館ではそのうちの1種を展示しております。     最後の4種目は当館でも大人気のメコンオオナマズの仲間です。 本当はメコンオオナマズです!と言いたいところですが、種類まではわからないため、ここではメコンオオナマズを含むパンガシウス科の魚たちとさせていただきます。 この壁画では他の魚たちよりも一際大きく描かれており、コイの仲間とは違い、鱗も描かれていません。さらに、背びれと尾びれの間にある小さな脂(あぶら)びれがしっかりと描かれていますよね。現在、メコン川では絶滅の危機に瀕しているメコンオオナマズですが、当時はもっとたくさんいたのだろうな~と想像してしまいます。     さて、今日紹介した魚たちは、「メコン川中流の魚」水槽にて展示しております。千年以上前の人々が見ていた魚たちを、当館の水槽でもご覧いただけます。   ご来館の際には、アンコール王朝時代のメコン川を想像しながら、じっくりと魚たちを見ていただけると嬉しいです。 最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

サイとゾウの耳はそっくりさん!?
  • アクア・トトの生き物

サイとゾウの耳はそっくりさん!?

みなさまこんにちは。展示飼育部の佐藤です。   今日、紹介するメコン川の魚は「サイウオ」と「ゾウの耳ウオ」です。 前回、メコンの魚シリーズでメコン川のキュウリウオを紹介しましたが、 現地では人々の生活の中から発想を得て、身近な生き物に名をつけることがあります。 これはメコン流域だけではなく、日本の生き物たちの名にも見られますよね。     今日、紹介する「サイウオ」と「ゾウの耳ウオ」もそんな生き物たちです!     最初は「サイウオ」についてです。 メコン川流域にもかつてはジャワサイというサイが広く生息していましたが、 密猟や森林破壊などによってメコン川が流れるインドシナ半島では絶滅してしまったそうです。 かつてメコンの川辺や森で暮らしていたサイたちに似ている事から名づけられた 「サイウオ」とは、一体どんな魚なのでしょうか? その魚がこちらです!   一体、どこがサイなのか?と思われた方もいらっしゃると思いますが、 サイのしゃくれた顔がこの魚の顔つきと似ていませんか? この魚はオスフロネムス・エクソドン(Osphronemus exodon)という魚で 以前紹介したグラミーの仲間でカンボジアでは北東部のメコン水系に生息しています。 現地名では「サイウオ【トライ(魚)・ローメア(サイ)】」と呼ばれています。     そして次は「ゾウの耳ウオ」です。 カンボジア南西部にはカルダモン山脈という原生林が残る山々があり、 その森には現在も野生のアジアゾウが生息しています。 ゾウといえば長い鼻が一番の特徴ですが、もう一つの特徴は丸く大きな耳ではないでしょうか。 ゾウの耳のように大きく丸い姿がこの地域に生息するオスフロネムス・グラミー(Osphronemus gouramy)と似ていることから、「ゾウの耳ウオ【トライ(魚)・トロチア(耳)・ドムライ(象)】」と呼ばれています。     そこでこの2種類のオスフロネムスですが、並べてみると、とってもよく似ていますよね。 そんな2種類の魚たちですが、それぞれの地域に暮らす人々が名づけた名は、逆の地域では互いに使われることはないようです。それぞれの地域の人たちが自然の中で培った独自の文化なのでしょう。     今回、紹介した「サイウオ」と「ゾウの耳ウオ」は「メコン川中流の魚」水槽(メコンオオナマズのいる水槽のとなり)で展示しております。   一見すると本当にそっくりで、鰭の条数など、学術的に見れば違いははっきりしますが、見慣れてくると、パッと見ただけでも、雰囲気だけで見分けられるようになるはずです。     当館はみなさまのお陰で今年20周年を迎え、暑い夏休み中もたくさんの方々にご来館いただいております。当館へお越しの際にはそっくりな「サイウオ」と「ゾウの耳ウオ」を見比べながら、インドシナ半島では絶滅してしまったジャワサイの顔つきとカルダモンの森に今も生息するアジアゾウの耳を連想して楽しんでいただけると嬉しいです!   最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた!

カピバラ2頭新しく仲間入り!
  • カピバラ
  • 新しい展示

カピバラ2頭新しく仲間入り!

みなさま、こんにちは。 暑い日々が続きますが、熱中症にお気をつけて過ごしてくださいね。   さて、8月5日にカピバラ2頭がアクア・トト ぎふにやってきました!   その時の様子がこちら↓ 初めは見たことない場所に戸惑いつつ、周りを探索し始めます。 どうやら、2頭とも浅い池に興味津々の様子でした。   この後、無事にごはんを食べたり、水を飲んだり、排便したりと環境に慣れていきました。     どんなカピバラがやってきてくれたかといいますと… メス①:2023年11月22日生まれ 性格→好奇心旺盛、メス②よりも少し体が大きく、こげ茶の体毛     メス②:2023年12月19日生まれ 性格→慎重、メス①より体が小さく、うす茶色の体毛     メス①、メス②と書いてありますように、まだ名前がついていません! 9月1日まで2頭の名前を募集していますので、ぜひご応募くださいね! 詳しくはこちらのページ カピバラが生息している南米にちなんだ名前のご応募、お待ちしております。     ちなみに先日、スイカをプレゼントするイベントを実施し もぐもぐとスイカを頬張る様子をお客様に見ていただきました。     残りの暑い夏も乗り切るために、 8月25日(日)にも氷イベントを実施予定ですので、ぜひ遊びに来てくださいね!

カナヘビの赤ちゃん、今年もうまれてます!
  • アクア・トトの生き物

カナヘビの赤ちゃん、今年もうまれてます!

みなさまこんにちは。 残暑の候、いかがお過ごしでしょうか。 館内の多くのスタッフは暑さにやられてへばっておりますが、館内のニホンカナヘビたちはひときわ元気いっぱい過ごしております。 なぜならそう、繁殖の季節だからです!     ビビっときたある日、飼育ケージ内にある石をそっとどけると・・・     ↓↓↓     なんと、そこには産卵中のカナヘビが! ニホンカナヘビは、石や葉っぱが堆積したところの下など、少し湿っぽい場所に卵を産むのです。春ごろから湿ったミズゴケを石の下に設置しておいたのが功を奏したようです。   ニホンカナヘビは卵の世話をしないため、ここからはスタッフの出番です。     まず、湿ったミズゴケを敷いたケースに卵を回収します。このとき、卵の向きを変えてしまうと、胚がさかさまになり発生が止まってしまうかもしれません。私は間違えないよう、卵にペンで印をつけておくことが多いです。   ケースは直射日光の当たらない場所に置き、ミズゴケが乾かないよう定期的に霧吹きで水をかけます。ただし、あまりにべちょべちょだと卵がカビてしまうため、適度な量を心がけます。   卵は水分を吸収し少しずつ大きくなっていきます。上の写真では、右のほうが回収したばかりの卵、左のほうがふ化間近の卵です。二倍以上の大きさに膨らんでいることがよく分かりますね。   一か月半ほど経過すると・・・   ひょっこり、卵から顔を出しています!     うまれたカナヘビの赤ちゃんたちは、コオロギの赤ちゃんやショウジョウバエなどを与えて世話をします。赤ちゃんが大きくなるにつれ、与えるごはんも大きくしていきます。       これからもすくすく育ちますように! 来年には展示デビューできるよう、飼育スタッフみんなで丁寧に世話をしていきたいと思います。   ニホンカナヘビたちの繁殖の季節はまだまだ続きます。元気いっぱいのカナヘビたち、ぜひ観察しにお越しくださいね。

ジャウーの展示は大変
  • 企画展・特別展示

ジャウーの展示は大変

皆様こんにちは。   おかげさまでアクア・トト ぎふは2024年7月14日に開館20周年を迎えることができました。 今回は20周年特別企画展「ワイルドアマゾン アマゾン最高!」のお話しをしたいと思います。 今回の企画展担当3名も全員オープニングスタッフの20年選手。メンバーはオジサンですが、意気込みは20年前と変わりません!たぶん!     特別企画展のテーマは「アマゾン」。 担当となった段階で、すぐに私の頭の中ではメインとなる展示生物が思い浮かびました。 ジャウー。アマゾン川に生息する大迫力巨大ナマズです。   2004年のオープン時にはピラルクーなどと一緒に展示していたのですが、持ち前の貪欲さを発揮し、夜な夜な同居している魚たちをパクパク食べてしまうことから、展示水槽ではなくバックヤードの大きな水槽で飼育し続けていました。     そう、ジャウーも我々とおなじ20年選手です。 しかも、バックヤードでも順調に成長しており、全体像は潜水しないと見えない水槽ですが、相当な大きさに育っていました。     さて展示するとなると大きな問題が。そもそもジャウーをちゃんと展示できる水槽なんて無いわけで…。 ということで、水槽製作から始めました。     ジャウーがゆったりと飼育できる大きさで、しかもバックヤードの狭い場所を通せるギリギリのサイズを狙いました。ベテランが検討を重ねて決めたサイズですからね、余裕でしょう!   企画展開催の2週間前、水槽が搬入されました。 ユニック車で運ばれてきた水槽を見て、ベテランは思いました。 「これは…、入らんかもしれん…」   心中は動揺しまくりです。 入らないかもしれない不安と、調子にのって大きすぎる企画展用水槽を作ったことを後悔する日々を過ごし、いよいよ設営当日。     「ええい、ままよ」と動かし、あまりの重さにカーペットを巻き込んで軒並みひっぺがしつつもなんとか据え付けに成功しました。     急いで配管作業をし、水張りテストをし、OKとなったところで、ふと気づきました。 そういえば、ちゃんとジャウーの全身を見ていなかったなと。 箱メガネでジャウーのサイズを確認し、20年選手は思いました。   「これは…、捕まえる際に無事でおれんかもしれん…」     バックヤードの水槽は非常に作業がしにくい構造で、移動用バッグにジャウーをうまく誘導できるのか、そのあと持ち上げることができるのか、不安がつのります。     いよいよ移動日当日。 「ええい、ままよ」と水槽に入りバッグに誘導します。 なんとかバッグに追い込んだところまではスムーズにでしたが、ジャウーが少し体をひねるだけで体は振り回されます。     そして水面に持ち上げると重いこと重いこと…。四十肩と五十肩コンビにはなかなか辛い作業でした。   狭い企画展バックヤードを抜けて、   いよいよ水槽へ。動画でどうぞ。 ※映り込みがひどくてすみません…。     なんてカッコいいナマズなんでしょう。心躍ります。 大きさを比較するために今年入社した若いスタッフに寝転んでもらいました。 ジャウーが随分小さく見えますが、大きさは1.6~1.7mくらいあります。   彼、身長が189㎝もあるんですね。 こういう場合は背が低い人の方が良いようです。   まだまだ勉強の日々です。

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本日の開館時間

9:30-19:00

最終入館 18:00

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453

TEL 0586-89-8200 FAX 0586-89-8201

2回分の料金で何度でも楽しめる!

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