こんにちは、展示飼育部の松下です。 先日、「コンゴ川 中流の魚」水槽にてエレファントノーズを展示開始しました。 向かって右手の流木のあたりにいることが多いです。下アゴから突起が伸びた、特徴的な姿がお分かり頂けるでしょうか。 新たな生物を展示するにあたって用意しなければならないのが種名板です。 種名板とは、生物の名前をお客様にお伝えするためのパネルのことです。 当館では種名のほかに、簡単な解説文と写真も併せて掲載しています。 水槽の近くに貼ってあるアレです。 種名板は飼育スタッフが作成しているのですが、じつはなかなか大変な手順を踏んでいるのです。本コラムでは、種名板を作成する様子をご紹介したいと思います。 まずは論文や図鑑などを参考に、解説文を作成します。最初に私が書いた文章がこちら。 「まるでゾウの鼻のように垂れ下がる肉質突起で水底にひそむ昆虫などを探して食べます。尾柄部から電気を発し、周囲を感知します。」 この文章を同じチームのスタッフに回覧したところ、おもに以下の2点を指摘されました。 ①肉質突起、尾柄部など難しい言葉が多い。 ②発電に関する説明が簡素すぎる。 そこで、表現を変更したり、説明を足したり……そうすると文字数制限に収まらなくなるので、削ったり……。試行錯誤の末、OKが出た文章は以下の通りでした。最初の文に比べてかなり分かりやすくなったのではないでしょうか。 「尾ビレのつけ根部分の筋肉から弱い電気を発し、周囲を感知します。下アゴから下方に伸びた突起で水底にひそむ虫などを探して食べます。」 ようやく解説文が完成しました! しかし、まだ終わりではありません。 次に種名板用の写真を撮影します。エレファントノーズを撮影用の小さな水槽に入れ、背景を設置し、いざ撮ろうとしたのですが……。 ちょこまかと動き、なかなか画角内で落ち着いてくれません。時間をかけてこれはという一枚は撮れたのですが、あとから私の指の映り込みや、水面の反射が発覚し、ボツになりました。 そこで、見かねた先輩スタッフが撮影を手伝ってくれることになりました。 生物が落ち着くような水槽のセットの仕方を教えてもらい、最終的に撮れたのがこちら。 生物の全身がくっきり写っており、逆に余計なものは写っていませんね。これならOKです! というところで種名板の完成です。生物を水槽に入れ……。 ホルダーに種名板をセット。 とうとう展示開始までこぎつけたのでした。 水槽に入れたエレファントノーズは今ではすっかり環境に慣れ、突起を使って底の食べ物を探している様子も観察できるようになりました。 他の魚とは一風変わった姿、ぜひ一度見にお越しください!