みなさまこんにちは。 朝晩はかなり冷え込み、布団から出るのがつらい季節になりましたね。本コラムの主役も、普段砂にもぐってなかなか出てこない生き物です。 さて、12月5日より当館3階「岐阜県の希少淡水魚」コーナーにて、スナヤツメ北方種の展示を開始しました! 開館当初はスナヤツメとして常設展示していました。 その後、スナヤツメには北方種と南方種がいることが明らかにされ、岐阜県にはそのどちらも分布していることが報告されました。今回はスナヤツメ北方種として常設展示にカムバック。じつに10年以上の歳月を経てお客様に再びご覧いただける運びとなりました。 ところで、本題のスナヤツメという生き物。あまり馴染みがないかもしれませんが、みなさまはご存知でしょうか。それでは、こちらの写真をご覧ください。 なんだこの生き物は!? 本当に魚なのか!?……というのが、素直な感想でしょうか。それもそのはず、スナヤツメはほかの多くの魚類(硬骨魚類や軟骨魚類)と系統的に大きく離れた、原始的な脊椎動物の特徴を残す生き物なのです。 簡易な脊椎動物の系統樹を書いてみました(絶滅した分類群を省いたり、多系統群を一本の枝で表したりしている点をご了承ください)。 この図の通り、スナヤツメは私たちの祖先にあたる生物がアゴの骨を獲得する以前に分岐した生き物です。そのため、アゴがなく、「無顎類」や「円口類」と呼ばれることがあります。 こちらがスナヤツメの口もとを拡大した写真です。私たちのような上下に開く口ではなく、左右に開く頭巾状の口をもっています。 上に掲載した写真はスナヤツメの幼体です。砂の中にもぐり、有機物を食べて成長します。約3年間の幼生期を経て、変態し成体となります。それでは、成体の写真もご覧ください。 成体は目が発達し、ヒレが伸長してよく泳げるようになります。口は吸盤状になり、岩などにくっつくことができるようになります。しかし、消化管を失うため一切食事をとらず、産卵して一生を終えます。 目の後ろに、七つの鰓孔が開いているのがお分かりいただけるでしょうか。名前の「ヤツメ」とは、本当の目を入れて八つの目を持っているように見えることに由来しています。 ほかの魚とはちょっと変わった特徴をもつスナヤツメ。ぜひ当館へお越しいただき、直接観察してみてくださいね。 Tweet